映画「イヌとイタリア人、お断り!」

アマプラやU-NEXTであと一週間で配信終了らしくて、駆け込みで見てました。めちゃくちゃ良かった……

人形の姿をした祖母と、生身の手だけで出演する孫(監督)の会話によって紡がれるイタリア系移民としての祖父母の物語。家の壁は段ボール、レンガは角砂糖、木々はブロッコリーといったミニチュアならでは見立てを通して描かれるかわいらしい世界の中で、戦争と差別に翻弄されながら強く生き続ける人々の姿を描く。

貧困、戦争と死、ファシズムに呑まれる故郷から離れなければならない悲しみ、移住先のフランスで受ける移民差別……といった重たいテーマをまっすぐに取り扱いながら、アニメーションのユルさと祖母の素朴な口調でその重苦しさを飲み込みやすくしているのが絶妙なバランスで、すごく良かったな~~~!!!!!

コミカルな動きやスキがあればすかさず挟まれるユーモア、ロマンチックなシーンを通じて登場人物たちに親しみが芽生えていくいっぽうで、悲惨な破壊とそれによって訪れる死が淡々と描かれる事で恐怖感や無力感がより強調されていて、アニメーションという手法の強みを感じる~~~ッ……と思いました。しんどい時にしんどい内容の映画を見るのって辛かったりするけど、手法によってそのあたりの”感情が引き摺られる感じ”がうまく弱められていて、でもテーマの重たさは薄まっていない……という匙加減が本当にうまい……。あと孫(監督)が手だけで祖父と交流したりする演出も映像の魔力を感じられてすごく好きです。

タイトルの強さについ一瞬たじろいでしまうけど、今の日本でもまさに同じような言葉が各地で掲げられている事を思うと自分達はたじろいでいる場合ではないし、このタイトルが付けられた意味を真摯に受け止めて再生産させないように行動しなければならないんだよな……という事も思う。

世界中で日に日に戦前まで歴史が逆行しているのではないかと思わされるニュースが続く今、できればいろんな人に見てほしい作品だな~と思いました。たぶん見放題配信の枠が19日いっぱいまでというだけで、数百円程度の配信自体はその後も続くんじゃないかな……?YouTubeだと300円でレンタルできるみたいです!

監督インタビューの記事もすごくよかった。戦争の悲惨さと愚かさを次世代に伝えていくこと、本当に何度繰り返してもやりすぎるという事はないんだよな……。(しかしインタビュアーの日本のアニメに関する質問は恥ずかしすぎて穴に入りたくなる!!!必要ありましたか?その質問……)